結論からいうとDiSCアセスメントとは:
人々の性格を4つの主要なスタイル「主導性(D)」「影響力(i)」「安定性(S)」「良心性(C)」に分け、それぞれの特性が職場でどのように影響を与えるのかを解析します。効果的なマネジメント、チームの相互理解などに用いることができます。
ビジネスの現場で人々がどのように行動するのかを理解するための有力なツール、DiSCアセスメント。
このモデルは、人々の性格を4つの主要なスタイル「支配性(Dominance)」「影響力(Influence)」「安定性(Steadiness)」「誠実性(Conscientiousness)」に分け、それぞれの特性が職場でどのように影響を与えるのかを詳細に解析します。
リーダーにとっては部下のマネジメントとコミュニケーションの質を高めるため。社員にとっては、チーム内での役割を明確にし生産性を向上させるために役立ちます。
DiSCアセスメントの背景と歴史
DiSCの設計は1920年代、アメリカの学者ウィリアム・モールトン・マーストンによって始まりました。
マーストンは『Emotions of Normal People(普通の人々の感情)』という書籍の中で、「人間の感情」と「行動パターン」を探求し、特に「環境に対する個人の認識」と「その反応」の関係性を分析。4つの基本的な行動特性(Dominance, Inducement, Submission, Compliance)を提唱しました。
1950年代~1970年代には、マーストンの理論を基に、産業心理学者や行動科学者たちが、実用的なアセスメントツールを開発しました。Walter V. Clarkeによる「Activity Vector Analysis」が、最初のDiSC関連の評価ツールとして知られています。
1970年代以降、DiSCは個人の行動スタイルを測定し、レポートとして提供するツールへと進化しました。個人の行動や思考パターンを理解するための基盤を提供し、経済や人間関係の分野で実用的な訓練モデルとして発展したのです。
現在では、DiSCアセスメントは職場や教育現場での対人スキル向上やチーム構築、リーダーシップ開発に活用されるようになりました。オンラインツールとしても利用可能で、グローバルな企業や組織で広く採用されています。
DiSCアセスメントの4つの性格スタイル
DiSCアセスメントが焦点を当てる4つの性格スタイル「支配性(D)」「影響力(i)」「安定性(S)」「誠実性(C)」は、個々の行動、コミュニケーションスタイル、そして職場での対人関係に影響します。項目別に見てみましょう。
主導性(Dominance)
主導性(Dominance)を持つビジネスパーソンは、直接的で目標志向です。積極的で競争力があり、結果を出す能力が高いです。
とくに、リーダーシップを発揮する場面や困難な決断が求められる状況で力を発揮します。例えば、プロジェクトの優先順位を明確にし、迅速に行動を起こすための意思決定をサポートします。
影響力(Influence)
影響力(Influence)を持つ人々は、社交的でポジティブなコミュニケーターです。彼らは他人との良好な関係を築くことを重視し、チーム内での調和と生産性を高める重要な役割を果たします。
コミュニケーションが得意なので、チームの士気を高めたり、顧客との関係構築を担当するといった役割に適しています。営業やマーケティングの場面で活用されることが多いです。
安定性(Steadiness)
安定性(Steadiness)を持つ人々は、協調性があり、信頼性が高いです。彼らは変化を嫌い、安定した環境で最も生産的な傾向があります。
この人々は、長期的なプロジェクト管理や、チームの調和を保つ役割に適しています。例えば、プロセスの一貫性を維持し、他のメンバーが安心して働ける環境を提供します。
良心性(Conscientiousness)
このタイプの人々は、詳細に注意を払い、計画的に行動する傾向が強いです。彼らは高い品質と精度を求め、そのためには時間をかけることも厭わない傾向があります。
正確性と分析力に優れているため、データ分析や品質管理の分野で効果を発揮します。例えば、新製品のリリースにおいて詳細な仕様確認を行う際に力を発揮できるでしょう。
これらの性格スタイルを理解することで、ビジネスリーダーは部下一人ひとりの強みと弱みを把握し、それに基づいて効果的なマネジメント戦略を練ることができます。
一方で、社員は自分自身の性格スタイルに合った職務を選び、またチーム内でのコミュニケーションをスムーズにすることができるでしょう。
ビジネスマネジメントにおけるDiSCアセスメントの活用法
DiSCアセスメントは、ビジネスマネジメントの多岐にわたる側面での戦略の練り方をサポートします。以下に、その具体的な活用法をさらに詳しく紹介します。
個別のフィードバックの提供
- 強みの特定: 各社員のDiSCプロフィールを分析することで、その人の強みや得意な領域を明確に特定できます。
- 改善点の指摘: 逆に、弱点や改善が必要な領域も明確になり、具体的なアクションプランを提案することができます。
チームの相互作用の最適化
- コミュニケーションの改善: チームメンバー間の性格スタイルの違いを理解することで、コミュニケーションの障壁を取り除くことができます。
- 役割の最適化: 各メンバーの性格スタイルに合わせて役割を割り当てることで、チームの生産性を最大化することができます。
リーダーシップスキルの強化
- 自己認識の向上: リーダー自身の性格スタイルを理解することで、自分の強みと弱みを明確にし、それに基づいてリーダーシップスタイルを調整することができます。
- 部下との関係の深化: 部下の性格スタイルを理解することで、より深い関係を築くことができ、部下のモチベーションを高めることができます。
採用戦略の最適化
- 適性の確認: 候補者のDiSCプロフィールを分析することで、その人が求められる役割や組織文化に合致するかを確認することができます。
- オンボーディングの効率化: 新入社員の性格スタイルを事前に知ることで、オンボーディングのプロセスを効率的に進めることができます。
組織文化の形成
- 文化の現状分析: 組織内のメンバー全員のDiSCプロフィールを集計することで、組織文化の現状を把握することができます。
- 文化の方向性の設定: 組織の理想的な文化を定義し、それに向けてのアクションプランを策定することができます。
ビジネスマネジメントにおけるDiSCアセスメントの詳細な活用は、組織の生産性や効率性を向上させるための鍵となります。
DiSCアセスメントを活用するメリット
DiSCアセスメントをビジネスの現場で活用することにより、多くの具体的なメリットが得られます。以下にその主要なメリットを詳しく紹介します。
効果的なコミュニケーション
- 障壁の除去: チームメンバーや部下とのコミュニケーションの障壁を取り除くことができ、スムーズなコミュニケーションを実現します。
- 意見の共有: 異なる性格スタイルの人々との意見交換が容易になり、多様な視点を取り入れることができます。
高い生産性
- 役割の最適化: 各メンバーの性格スタイルに合わせて役割を割り当てることで、チームの生産性を最大化することができます。
- 効率的なタスク管理: 個々の性格スタイルに合わせたタスクの割り当てやフィードバックの方法を採用することで、タスクの効率性を向上させることができます。
人材の育成と定着
- キャリアの成長: 社員は自分の性格スタイルを理解し、それに基づいてキャリアの方向性を定めることができます。
- 低い離職率: 社員のニーズや期待に応えることができるため、離職率の低下や社員の満足度の向上が期待できます。
効果的なリーダーシップ
- 部下のモチベーション向上: リーダーが部下の性格スタイルを理解し、それに基づいてフィードバックや指導を行うことで、部下のモチベーションを高めることができます。
- リーダーシップスタイルの調整: リーダー自身の性格スタイルを理解し、それに合わせてリーダーシップスタイルを調整することができます。
DiSCアセスメントを効果的に活用することで、ビジネスの現場でのコミュニケーションの質、生産性、人材の育成と定着、そしてリーダーシップの質を向上させることができます。
DiSCアセスメントは、ビジネスの現場でのコミュニケーション、マネジメント、そしてリーダーシップの質を向上させるための強力なツールとして、多くの企業や組織で活用されています。行動特性は対象をより深く理解するための一助となるからです。
このツールを効果的に使用することで、組織の生産性や効率性を向上させるだけでなく、社員の満足度やモチベーションも高めることができるはずです。
個人の特徴の違いに配慮したアプローチを実践して、組織全体の成長を促しませんか?
参考:
What Is a DiSC Assessment and How Might It Help Your Team?
Emotions of Normal People – William Moulton Marston