結論からいうとESG投資とは:
環境(Environmental)、社会(Social)、およびガバナンス(Governance)の要素を考慮して行う投資手法を指します。具体的には、企業の環境保護への取り組み、社会的責任の履行、そして健全な経営体制などを評価し、投資判断に反映させるものです。
近年、持続可能な社会の実現や企業の長期的な成長を目指す観点から、ESG投資はビジネスの現場でますます重要視されています。
ESG投資の始まり
ESG投資の概念は、2004年に国連が主導した「Who Cares Wins」という報告書で初めて提唱されました。これは、金融機関が環境、社会、ガバナンスの要素を投資分析と意思決定に組み込むことで、持続可能な市場の創出と企業の責任ある行動を促進することを目的としていました。
その後、2015年のパリ協定や国連の持続可能な開発目標(SDGs)の採択により、ESG投資は世界的な広がりを見せ、2021年にはESG関連資産の市場価値が18.4兆ドルを超え、2026年までに12.9%の成長が見込まれています。
ESG投資の解説
ESG投資は、投資先企業の環境への配慮、社会的責任、そしてガバナンスの健全性を評価し、投資判断に組み込む手法です。
環境面では、気候変動対策や資源の持続可能な利用が評価され、社会面では、労働環境や人権の尊重、多様性の推進が重視されます。
ガバナンス面では、透明性の高い経営や倫理的な企業行動が求められます。これらの要素を考慮することで、企業の長期的なリスクを低減し、持続可能な成長を促進することが期待されています。

ESG投資のアプローチ
ESG投資を実践する際、投資家は以下のような具体的なアプローチを取ることが一般的です:
- ネガティブ・スクリーニング:投資先から特定の産業や企業を除外する手法です。例えば、環境破壊や人権侵害に関与する企業を投資対象から外すことが挙げられます。
- ポジティブ・スクリーニング:環境保護や社会貢献に積極的な企業を選定する手法です。再生可能エネルギーを推進する企業や、多様性を尊重する企業が対象となります。
- エンゲージメント:投資家が企業と対話を行い、ESG課題への取り組みを促す手法です。これにより、企業の持続可能な成長をサポートします。
企業の具体的な取り組み例
セイコーエプソン株式会社
- 環境への取り組み:2024年1月、セイコーエプソンは全世界の自社拠点において100%再生可能エネルギーを採用し、日本の製造業で初めて100%再生可能エネルギーを使用する企業となりました。
- 社会的責任:2024年4月、台湾東海岸地震の被災者に対し、日本赤十字社を通じて500万円を寄付し、被災地の早期復興を支援しました。
- ガバナンスの強化:2024年4月、MSCIのグローバルESG指数で最高評価のAAA格付けを初めて取得し、国際的に認められた企業の社会的責任調達基準の達成や、ガバナンス組織と人的資本開発体制の強化が評価されました。
インフィニオン テクノロジーズ(Infineon Technologies)
- 環境への取り組み:インフィニオンは、パワーエレクトロニクスシステム用半導体のトップメーカーとして、エネルギーチェーン全体のエネルギー効率化に大きく貢献しています。同社の製品やソリューションを利用することで、製造時に発生したCO₂の35倍のCO₂排出量を、製品の寿命までに削減することができます。
- 社会的責任:インフィニオンは、自社の事業活動においても気候保護に取り組んでいます。2030年に100%気候変動に左右されない事業活動を行うことを目指しており、この目標を達成するために、2021年にヨーロッパで消費するすべての電力を再生可能エネルギーによる発電に切り替えています。
ESG投資は持続的成長を測る指標
ESG投資は、企業の 環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G) への取り組みを評価し、持続可能な社会の実現と長期的な投資リターンの両立を目指す手法です。かつては「社会貢献」の側面が強調されていましたが、近年では企業の リスク管理や成長戦略の一環 として重要視されるようになりました。
本記事で紹介した セイコーエプソン や インフィニオン テクノロジーズ のような企業は、環境保全への積極的な投資や社会的課題の解決を目指しながら、ガバナンスの透明性を高めることで企業価値を向上させています。
これらの取り組みが、単なる「善行」ではなく 株主や投資家にとっての利益につながる ことが、多くの研究や実例からも明らかになっています。
現在、ESG投資は 企業の価値を評価する新しい指標 となっており、多くの機関投資家が投資判断の基準として重視しています。さらに、一般の個人投資家にとっても、ESGの観点を考慮することは 投資のリスクを低減 し、持続可能な社会の実現に貢献できる手段となるでしょう。
あなたの企業では、ESGにどのように取り組んでいますか?あるいは、あなたが投資をするならどんな企業を選びますか?
出典:
[1]: セイコーエプソン公式ウェブサイト(https://www.epson.com)
[2]: インフィニオン テクノロジーズ公式ウェブサイト(https://www.infineon.com)
[3]: MSCI ESG Ratings & Research Reports(https://www.msci.com/esg-ratings)
[4]: 国連責任投資原則(PRI)公式サイト(https://www.unpri.org)