結論からいうとカスタマージャーニーマップとは:
顧客がある商品やサービスを認知し、購入し、利用し続けるまでのプロセスを視覚的に表現したものです。このマップを作成することで、企業は顧客の行動や感情、接触ポイント(タッチポイント)を把握し、マーケティング戦略の最適化を図ることができます。
カスタマージャーニーマップの概念は、1990年代後半に登場したカスタマーエクスペリエンス(CX)マネジメントの流れの中で発展しました。それ以前のマーケティングは、企業視点でのプロモーションが中心でしたが、デジタル化の進展に伴い、顧客視点のアプローチが重要視されるようになりました。
2000年代に入ると、インターネットとモバイルテクノロジーの発展により、顧客の購買行動が多様化し、企業は一貫した顧客体験を提供する必要に迫られました。この流れを受け、企業は顧客の行動を詳細にマッピングし、各接点(タッチポイント)での最適なアプローチを模索するようになりました。
カスタマージャーニーマップの構成要素と機能
カスタマージャーニーマップの基本構成
カスタマージャーニーマップには、一般的に以下の要素が含まれます。
- フェーズ(段階):顧客が経験する主要なステージ(例:認知、検討、購入、利用、リピート)。
- タッチポイント:各フェーズで顧客が接触するチャネルや媒体(例:ウェブサイト、店舗、カスタマーサポート)。
- 顧客の行動:各タッチポイントでの具体的なアクション(例:製品情報の検索、問い合わせ)。
- 顧客の感情:各段階での顧客の感情や満足度。
- 課題や機会:顧客が直面する問題点や、企業が提供できる付加価値。
カスタマージャーニーマップを活用するメリット
カスタマージャーニーマップを活用することで、以下のメリットがあります。
- 顧客体験の向上:顧客の視点からプロセスを見直すことで、サービスの質を高める。
- 部門間の連携強化:全社的な顧客理解を促進し、部門間のシナジーを生む。
- マーケティング戦略の最適化:各フェーズに適した施策を導入し、効果的なマーケティングを展開する。
カスタマージャーニーマップの実際の使用例
オンライン書店におけるカスタマージャーニー

フェーズ | タッチポイント | 顧客の行動 | 顧客の感情 |
---|---|---|---|
認知 | SNS広告、検索エンジン、口コミ | SNSで広告を目にする、検索エンジンで「おすすめの本」を検索 | 興味・関心 |
検討 | ウェブサイト、メールマガジン、レビューサイト | ウェブサイトで商品の詳細を確認、レビューを読む | 期待・不安 |
購入 | ショッピングカート、決済ページ | 商品をカートに入れ、購入手続きを行う | 満足・安心 |
利用 | 商品(本)、フォローアップメール | 商品を受け取り、読む | 喜び・満足 |
リピート | リコメンデーションメール、ロイヤルティプログラム | 再度ウェブサイトを訪れ、別の商品を購入 | 信頼・忠誠心 |
飲食店におけるカスタマージャーニー
フェーズ | タッチポイント | 顧客の行動 | 顧客の感情 |
認知 | SNS広告、食べログ、口コミ | SNSで新しいレストランの情報を目にする、口コミをチェックする | 興味・関心 |
検討 | 公式ウェブサイト、レビューサイト、予約サイト | メニューや価格を確認し、他のレストランと比較 | 期待・不安 |
訪問 | 店舗、予約確認のメール、店員の接客 | 店舗に訪れ、食事を注文し、サービスを受ける | 満足・感動 |
利用 | 食事体験、写真撮影、レビュー投稿 | 料理を楽しみ、写真を撮影しSNSに投稿 | 喜び・共有 |
リピート | メールクーポン、SNSでの再アプローチ | クーポンを利用して再訪、別のメニューを試す | 信頼・ロイヤルティ |
このように、各フェーズでの顧客の行動や感情を把握することで、企業は適切なタイミングで効果的なマーケティング施策を展開し、顧客満足度とリピート率を向上させることができます。
カスタマージャーニーマップを活用し、ビジネスの成功を加速させる
カスタマージャーニーマップは、顧客の視点からビジネスプロセスを見直し、サービスやマーケティング戦略を最適化するための強力なツールです。顧客体験の向上や部門間の連携強化、マーケティング施策の効果向上など、多くのメリットをもたらします。
あなたのビジネスでも、カスタマージャーニーマップを活用して、顧客満足度と業績の向上を目指してみてはいかがでしょうか?